有機JAS認定までの流れ
〜判定委員から〜

判定委員 片野 學  
(九州東海大学教授)

   2001年4月に有機JAS制度が始まって5年目を迎えています。4年間に及ぶ経験の蓄積で判定委員会(※1)の作業も随分楽になってきました。

▼   申請書と検査員報告書に目を通します。書類を年次調査(※2)と新規の人にまず分けますが、新規の場合には時間をかけて詳細に検討します。新規申請者は講習会受講を事前に済ませ、申請書類を周到に準備してください。
▼   また、申請件数が最も多い生産行程管理者(農業生産者のこと)の場合、有機専業の場合はわかりやすいのですが、有機専業でも自給資材以外の購入資材が多い事例では詳細に検討します。有機JASの理念は持続的・循環型の農業を目指しているので、種苗を含めて、可能な限り、外部購入資材には頼らない方法を追求して欲しいものです。
▼   次に、有機と慣行の併用の場合にはさらに細かく文書を検討します。併用から有機専業への努力が望まれます。
▼   格付規定と格付記録(※3)に対しては、小分け業者と製造業者も含めてこれまで以上に精確に点検するようになりました。
▼   熊有研では輸入業者の申請はありません。
▼   最後に、各委員が検討した個別申請結果を総合審議にかけて判定を下します。疑問を率直に出し合って判定作業の改善が回を追うごとに進んでいます。

※1判定委員会・・・有機認証は生産者が書類をだし、それを現場で検査員が検査し、その報告をもとに、学識者、農業関係者、消費者などで構成される委員会でその適合性の判定(or評価)を行います。
※2年次調査・・・認定後も1年ごとにその基準を守って生産、管理を行っているかを確認する調査です。有機の検査は毎年しなければなりません。初年度を検査といい、次年度からは調査といいます。
※3格付け・・・生産された農産物や加工食品が定められた基準に適合しているか確認することです。その検査に合格した証がJASマークです。


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